最新.5-3『エンピ換装完了、激昂博打敢行』
『――警告――』
※1 この警告は作者の主観、及び偏見に基づく判断により記載させていただいております。
※2 今警告はネタバレを含みます。
・今パートは4-9に続きまして、読む方によっては不快になられるであろう要素を多分に含みます。
・暴力的描写、差別的描写、特定のマイノリティー性癖描写、マイノリティーに対する批判的な描写を含み、そういった描写を不快に感じる方は回避を推奨します。
・前半2/3程までフラストレーションを煽る描写が続きます。
第21観測壕の跡地から少し行ったところ。剣狼隊長率いる剣狼隊本隊が対岸の衛狼隊へと応援に向かい、剣狼魔女と彼女の率いる3名の傭兵がその場に残っていた。そして彼女たちは今、捕虜となった施設Eを取り巻いている。
剣魔C「ねぇ、それでこいつどーすんの？」
施設E「ぐッ！」
セミショートの女が、言いながら地面に這いつくばる施設Eの背中を踏みつける。
剣魔D「この子、容姿は悪くないけど、ちょっと悪い子過ぎるみたいだし。厳しく躾けなきゃいけないんじゃない？」
長い髪の女が、施設Eの姿を覗き込みながら続けて言う。
剣狼魔女「当然よ。噛み癖のある野犬など論外だわ。まずは身の程をわきまえさせて、従順にさせる。それから情報を聞き出すわ。剣狼少年、あなたは周りを見張っていなさい」
剣狼少年「う、うん」
剣狼魔女は剣狼少年に指示を出すと、施設Eの顔の前に立つ。
剣狼魔女「分かったかしら？」
そして施設Eの顔を見下ろしながら言った。
施設E「ふざけんなぁッ！」
好き勝手にのたまう女達に対して吐き捨て、施設Eは眼前まで近づいた剣狼魔女に掴みかかろうと手を伸した。だが目の前の剣狼魔女は素早く身を引き、悠々とそれを避けて見せた。
剣魔C「おっとぉ！」
剣魔D「いい加減学習しなさいな、おばかさん」
施設E「うぐッ！」
そして二人の女が施設Eの体や手を踏みつけ、彼の体を鈍い痛みが襲う。
施設E「……お前らぁ――痛ッ！？」
なおも抵抗を諦めず、目の前の剣狼魔女を睨みつける施設E。だがその彼の頬に、突如鋭い痛みが走った。
剣狼魔女「まったく、本当に覚えの悪い野犬ね」
施設Eの頬に、赤く細長い内出血の跡が痛々しく浮かび上がる。そして剣狼魔女の手には乗馬鞭が握られている。施設Eの頬に走った痛みは、彼女が鞭を振るったことによるものだった。
剣狼魔女「いい？最後にもう一度説明してあげるわ」
剣狼魔女は手元で乗馬鞭をしならせながら、年端もいかない少女の見た目と不釣り合いな、妖艶な声色で話し始める。
剣狼魔女「本当なら、躾のなっていない犬はこの場で駆除してしまうところなのだけれど――今ここで私に対する従属を誓い、すべてを洗いざらい話しなさい。そうすれば慈悲として、
私の玩具として生かしておいてあげる。あなたには私の気が向いたときは、それなりに愛してもあげるわ。――どう？おバカな野犬のあなたでも、これでどうするべきかは
分かったでしょう？」
施設E「……分かった、分かったよ」
観念したかのように声を絞り出した施設E。それを見て、剣狼魔女はクスリと口元を歪める。
施設E「――君達がそろいも揃って、碌な脳みそをしてないってことがね！」
だが次の瞬間、施設Eは剣狼魔女に笑顔を浮かべ罵倒を吐きつけた。いくら自分の生殺与奪の権を相手に握られていようとも、ここまで頭のおかしい降伏勧告を承諾するほど施設Eは愚かではなく、弱い精神の持ち主でもなかった。
剣狼魔女「………ふん」
施設E「ヅゥ！」
その直後、施設Eを再び鞭の鋭い痛みが襲う。二度目の鞭を振るった剣狼魔女は、降伏勧告を拒絶した施設Eを、冷たい目線で見下ろしていた。
剣狼魔女「はぁ……人間ってほんと愚かなのね」
そして彼女は冷たい表情のまま諦めたように呟き、施設Eの額に指先をかざす。
施設E「ッ！」
何気ない物のはずのその動作。しかし、それを前にした施設Eの背中に悪寒が走る。
施設E「な、何を――！？」
剣狼魔女「甘美なる我が愛の鞭の虜となり、従属の喜びで体を染めよ」
施設Eの叫び声を遮り、剣狼魔女の口から魔法詠唱が紡ぎ出された。
施設E「……う……ぁ？」
詠唱開始と同時に、施設Eに異常が現れた。剣狼魔女達に対する敵意に満ちていた施設Eの顔が、見る見るうちに覇気を失ってゆき、瞳からは光が消えてゆく。
剣狼魔女「この哀れな子犬は我が足元にすがりよる。従順たる僕をわが手に」
施設E「ぁ……」
そして詠唱が終わる頃には、施設Eは呆けたような顔になり、目の前の剣狼魔女をぼーっと見つめていた。
剣狼魔女「よく聞きなさい。今からあなたはあたしの僕よ。徹底的に使われて、惨めに果てていくただの道具となるの、分かったかしら？」
詠唱が終わると、剣狼魔女は冷酷な目つきと冷たい口調で施設Eにそう言い聞かせる。
施設E「ぁ……ぅ……」
剣狼魔女の言葉に対して、施設Eの口からは肯定とも否定ともつかない声が返って来た。
剣狼魔女「ふん、まぁいいわ。それじゃあ四つん這いになって、私の椅子になりなさい」
施設E「ぁ……く……」
剣狼魔女が命令すると、施設Eは言われるがままに手足を地面に付き、彼女に対して背中を差し出す。そして剣狼魔女は施設Eの背中に、何の臆面もなく腰を掛けてみせた。
剣魔C「あはは、おっもしろい」
剣魔D「相変わらず怖い力ねぇ」
セミショートの女と長い髪の女は、その様子を面白がりながら取り巻き眺めている。剣狼魔女が施設Eに対して使用したのは、マニヒスレイムと呼ばれる人の精神に作用する魔法であり、掛けた対象の敵対心を奪い、あらゆる命令に従順に従う操り人形としてしまう恐ろしい物だった。
剣魔C「ね、お嬢。あたしもこいつ使っていい？」
剣狼魔女「好きにしなさい」
剣魔C「へへ」
剣狼魔女の許しを得ると、セミショートの女は空いている施設Eの尻側に体重をかけた。
施設E「ぐぅ……」
二人分の体重は施設Eの華奢な体に負担をかけ、施設Eは口から苦悶の声が漏らして身悶えをする。
剣狼魔女「誰が動いていいといったの？」
施設E「うぐぁッ！？」
施設Eの身悶えによる揺れを不愉快に思った剣狼魔女は、叱咤と共に彼のわき腹付近に鞭を振り下ろした。
剣魔D「ぷッ、それ使い物になるの？惨めに体を震わせちゃって」
剣魔C「使ってみる？座り心地は悪くないよぉ？」
身悶えする苦痛に身じろぎする施設Eの姿を可笑しく思ったのか、長い髪の女は吹き出しながら発する。それに対してセミショートの女は、いたずらにでも誘うかのような調子で返した。
剣狼魔女「さて、それじゃあ教えてくれる？あなた達は一体なんなの？」
施設E「うぁ……くぅ……」
施設Eの後頭部の髪の毛を掴み上げ、施設Eから情報を聞き出そうとする剣狼魔女。だが施設Eは苦しげにうめくも、質問に答えようとはしなかった。
剣狼魔女「あら……まだ心のどこかで抗ってるわね」
剣魔C「うっそぉ、どこまで往生際が悪いんだよ」
ひどく面倒臭そうな声で呟くセミショートの女。
剣狼魔女「かわいらしい見た目の割に、それなりにしぶとい心を持ってるみたいね。まぁ、それでも無駄なあがきだけれど。最初の内は術に抵抗できたとしても、すぐに従順になるわ」
言い終えると、剣狼魔女は魔法詠唱を始めた。
剣狼魔女「魅惑に覆われし我が庭。これに踏み入るは皆割れの虜――」
詠唱呪文が彼女の口から紡ぎ出されると同時に、彼女らの足元周辺にリング状の光が浮かび上がる。そして詠唱が終わると同時に、魔力の光は波紋のように周辺に広がり、そして消えた。
剣魔D「プリゾレイヴ・ガーデを使ったの？」
長い髪の女が、剣狼魔女が発動させた魔法の名を口にする。この魔法は先のマニヒスレイム同様、人の精神に作用し、発動者へ一定の距離まで近づいた敵対心を持つ人間を無力化する効果があった。剣狼魔女はこの魔法で自分の周辺に安全地帯を作り出したのだった。
剣狼魔女「これで邪魔は入らないわ。一息つきながら、この野良犬をじっくり躾け直すとしましょう」
潰された塹壕から少し離れた所の崖際。その陰から突如、ぬっと人の腕が伸び現れた。まるで妖怪のごとき不気味さで現れた何者かの腕は、崖際に生える草を掴み、地面をかきむしりながら這い上がって来る。
施設D「ヅァァッ……糞がぁ……」
悪態と共に這いあがってきたのは、他でもない施設Dだ。傭兵の放った落雷攻撃を受けて、崖から落下していった施設Dだったが、幸い落雷攻撃は彼に直撃はしていなかった。そして落下の途中で、崖の突起部を利用してどうにか踏みとどまったのだった。
施設D「連中……第2攻撃壕のほうに飛んでいきやがった」
施設Dは崖をよじ登る最中に、人間離れした身のこなしで対岸へと向かう傭兵達の姿を目撃していた。
施設D「まずいぞ、向こうに伝えないと……」
その時施設Dは、視線の先の人影に気付いた。
施設D（ッ、やばい！）
すかさず身を低くし、近くの魔法攻撃によってできた鉱石柱に這いより、身を隠す。
施設D（クソ、見張りを残してやがった！）
心の中で悪態を吐きながら、様子を伺うために鉱石柱から顔を覗かせて目を凝らす。
施設D（せいぜい3〜4人か、殺れるか……？さっきのヤバい奴が混じってなければ――ッ！？）
観察のために目を凝らしながら考えを巡らせていた施設Dだったが、次の瞬間、目に飛び込んで来た光景に彼は絶句した。敵の内、真ん中に位置する二名が何かに腰かけている。遠目に見た時には岩か何かと思った施設Dだったが、信じ難いことにそれは岩などではなく、両手両足を地に着かされた施設Eだった。
剣狼魔女『――が動いていいといったの？』
施設E『うぐぁッ！？』
驚愕したのも束の間、インカムから何者かの声と悲鳴が聞こえて来た。
施設D(！、今の――！)
施設Dは、悲鳴は施設Eのものだと気づく。そしてその前に聞こえた女の台詞は、察するに視線の先でたむろしている敵のものだ。どうやら施設Eの付けているインカムが、傭兵達の会話の内容を拾ったらしい。
剣魔D『ぷッ、それ使い物になるの？惨めに体を震わせちゃって』
剣魔C『使ってみる？座り心地は悪くないよぉ！』
さらに続けて聞こえてきたのは、また別の敵傭兵のものと思われる複数の女の笑い声。敵は施設Eを捕虜に取り、あろうことか彼をいたぶることを楽しんでいた。
施設D（あ………あのメスガキ共ォッ！！）
状況を把握したと同時に、施設Dの全身を激しい怒りと殺意が走り抜けた。頭に血が登り、目は血走り、握った拳から血がしたたり落ちる。
施設D（ッ！落ち着け………冷静になれ………）
今すぐにでも、施設Eを足蹴にする女共を殺すべく、飛び出して行きたい衝動を、しかし施設Dは必死で押し込めた。闇雲に出て言って敵に飛び掛かっても、先の戦闘の二の舞になるだけだ。
施設D（糞……！どうする？敵のうち一匹は、さっきのふざけたガキだ……）
最悪の状況から施設Eを救い出すべく、施設Dは考えを巡らせる。観察により確認できた敵は四人。そのうちの一人は、先の戦闘で超人的な動きを見せ、そして魔法により祝詞を死に追いやった金髪の子供だ。できれば奇襲による強力な一撃を、それが無理なら短時間でも敵を怯ませて無力化し、施設Eを回収する隙を作る必要がある。
しかし、それを実行するための物が、今の施設Dの手元には一つも無かった。先の襲撃で、重機関銃を始めとする重火器はほとんどが失われ、先ほどまで使っていた小銃すら、落下時の衝撃で破損し使用不可能となっていた。そもそも施設Eが捕らわれている以上、巻き込む危険のある火力の大きい兵器は使えない。そして少数あったフラッシュグレネード等の非殺傷兵器も、今は塹壕と共に土の中だ。
施設D「………直接殴るしかねぇ」
施設Dは接近戦を決断した。しかし殴ると言っても、当然闇雲に拳を振り回して突撃するわけにはいかない。
施設D（問題はどうやってギリギリまで近づくかだ……）
土砂降りであったならば、音と夜闇に紛れて容易に白兵距離まで接近できただろう。しかし間の悪いことに雨は小降りになっていた。今の環境でも一定距離までは接近できるだろうが、敵の懐まで飛び込むにはいささか不十分だった。
施設D（せめて足音を消せる何かがいる……何かないか……）
『こち……モータ……。座標2-3-……ドロー……2へ砲撃――。着弾ま――』
考えていた施設Dの耳に、突然雑音混じりの音声が飛び込む。突然の音声に、施設Dは驚きの声が漏れそうになるのを堪えて、音声の発信源に視線を向ける。そこには一部が土にめり込んだ、大型無線機が鎮座していた。地中から突き出て来た鉱石柱が塹壕を襲った時、上空に巻き上げられて放り出されたのだろう。
受信音声には雑音が混じっているものの、まだ機能は生きているようで、迫撃砲の砲撃座標と弾着までの時間が伝えられる。そしてその予告どうり、数秒後に谷間で着弾音が聞こえた。
『モーターよ……L2へ。……止砲撃継続……座標3-1-4。座標変……次第砲――』
施設D（砲撃音……使えるか）
施設Dは迫撃砲支援による砲撃音を利用して、足音を隠すことを思いつく。
施設D（タイミングを合わせて敵の懐に踏み込み、殴りつける……はっ、どれを取ってもひでぇ博打だ）
自分の立てた作戦の漠然具合に、施設Dは苦笑いを浮かべる。
施設D(待ってろよ、施設E)
無線機の傍には、同様に鉱石柱に巻き上げられて落下したものであろう、エンピが落ちている。施設Dはそのエンピを掴み寄せると、前進を開始した。
女達にそういった直後、彼女の耳に遠くからの爆音が届いた。
剣狼魔女「はぁ、にしても耳障りね」
聞こえて来た爆音に対して剣狼魔女は不快感を示す。
剣魔C「あれ、敵の魔術かなぁ？変な武器も使って来たし、こいつらなんなんだろうねー？」
剣魔D「見るに、どこか僻地の傭兵部族か何かじゃないかしら？標的の村が雇い入れたんじゃないの？」
セミショートの女と長い髪の女が施設Eの姿を見下ろしながら話す。
剣狼魔女「なんでもいいわ。久しぶりの戦いで剣狼隊長が張り切ってるし、そう時間もかからずに全部片付くわよ」
剣魔D「あらあら、人間嫌いの剣狼魔女様だっていうのに、剣狼隊長のことは随分信頼してるのね？」
剣狼魔女「信頼かどうかはともかく、ある程度評価はしているわ。あの子は他の人間と違って良い身のこなしをするし 教えた魔法の飲み込みも早かったから」
仏頂面で、しかし剣狼隊長に対する高評価を口にする剣狼魔女。700歳を超える彼女にとって、周りの傭兵達は皆、未熟な子供も同然だったが、秀でた能力とカリスマを持つ剣狼隊長に対しては友として一目置いていた。
剣狼魔女「……ふん」
人を褒めることをあまりしない彼女は、自分の柄にもない発言にむず痒さを覚えたのか、物調面を続ける。その時、剣狼魔女は自分に向けられる視線に気づいた。
剣狼魔女「剣狼少年、見張りを怠って何をぼーっと見ているの？」
視線の正体は剣狼少年だ。見張りを命じられていた剣狼少年だったが、彼はこっそりと振り返り、剣狼魔女達の様子を盗み見ていた。
剣狼少年「うぁ！ご、ごめん」
叱責されると感じ、体をびくりと震わせる剣狼少年。
剣魔D「あら、ご主人様が隊長や新しい僕にお熱だから、嫉妬しちゃったのかしら。」
しかし、長い髪の女がからかうようにそんな言葉を発した。そして剣狼魔女もそれに同調。先ほど仏頂面一転、彼に向けて怪しい笑みを浮かべる。
剣狼魔女「クスクス、なあに剣狼少年？ひょっとしてかまってほしいのかしら？」
剣狼少年「え……！いや、そんな……」
顔を赤くする少年を見て、むず痒さのはけ口を見つけた剣狼魔女はさらに口角を上げる。
剣狼魔女「プリゾレイヴ・ガーデを張ったし、見張りももういいわ。それより……あなたも私に奉仕なさい」
言いながら剣狼魔女は、組んでいた足の片方を剣狼少年に向けて突き出した。
剣狼少年「は……はい」
命じられた剣狼少年は、剣狼魔女に近づいて彼女の足元に傅く。そして目の前に差し出された剣狼魔女の足を手に取り、泥で汚れた彼女の足を拭き始めた。
剣狼魔女「ふふ」
ご満悦といった笑みを浮かべる剣狼魔女に見下ろされながら、剣狼少年は彼女の足を拭き終える。
剣魔C「下僕くーん、次はあたしの足を揉んでくれよぉ」
それを見計らったかのように、セミショートの女が口を挟んで来た。
セミショートの女はヘラヘラと笑いながら、ブーツを脱ぎさった自分の片足を揺らしている。
剣狼少年「え、で……でも……」
主人である剣狼魔女以外の命令の、戸惑いを見せる剣狼少年。
剣狼魔女「やりなさい、剣狼少年」
剣狼少年「は、はい……！」
しかしその主人に命じられ、剣狼少年はセミショートの女の足を揉み始めた。セミショートの女は最初の内は面白そうに剣狼少年を見下ろしていたが、やがてその表情は退屈そうな物へと変わった。
剣魔C「へっただなー、ぜんぜん気持ちよくなーい。もういいや」
剣狼少年「むぷっ」
剣魔C「おらっ、今度は足舐めろよぉ」
セミショートの女は足先を剣狼少年の頬に押し付けと、そんなことを強要してきた。
剣狼少年「あう……そ、そんな……」
戸惑いを見せた剣狼少年だったが、剣狼魔女が変わらず笑みを浮かべているのを見ると、大人しくセミショートの女の足を舐めだした。
剣狼少年「んぅ……ぷぁっ……」
しばらく命じられるがままに女の足をしゃぶっていた剣狼少年だが、やがて呼吸が苦しくなり、女の足から口をはなす。するとセミショートの女の足に代わり、今度は剣狼魔女の足先が剣狼少年の顎へと延びて来た。
剣狼魔女「なぁに？頬を赤らめて惚けた表情して。こんな事させられて笑われてるのに、喜んでるわけ？」
剣狼魔女は足先で剣狼少年の喉元を弄びながら、少年の顔を見つめて言葉を紡いだ。
剣狼少年「あぁ……あぅぅ……」
剣魔D「クスクス、物欲しそうな顔しちゃって」
女達の加虐心は熱を上げ、足元の少年にその牙が向けられる。
剣狼少年(はぅぅ、笑われてる。みんな冷たい目で僕を見てる……うぅ、でも……)
一方、女達に加虐的な笑みを向けられている少年はといえば、先ほどから続けられる行為の数々に戸惑い恥じらいこそすれど、抵抗を見せる様子は一切なかった。成り行きを話せばこの剣狼少年という少年は、半ば強引に魔女剣狼魔女の使役魔としての契りを結ばされた身だった。しかし、契りを結んで以来行われてきた、魔女が躾と称する体罰の数々によって、少年の心身は歪な物に染め上げられていた。今やこの少年は、この魔女に使われることを幸福とすら感じていた。
剣狼魔女「ほぉらぁ、恥ずかしがってるだけじゃ駄目よ。鞭を与えて欲しいのなら、ちゃんと奉仕なさい」
剣狼少年「は、はい……」
遠くに爆音を聞きながら、倒錯的なやり取りは続く。剣狼魔女は剣狼少年にさらなる奉仕を要求し、少年は笑みを浮かべる魔女を見上げながら、魔女の足を再び手に取ろうとする。
剣狼少年(恥ずかしいけど、剣狼魔女……ううん、剣狼魔女様の与えてくださる痛みと嘲笑が、僕の喜……)
ゴギャ、と――
倒錯的な空気と思念が支配する空間に、肉と骨がぶつかる暴力の音が割り込んだ。
剣狼魔女「ぎょぶぉッ！？」
そして同時に響く奇妙な悲鳴。悲鳴の主は他でもない剣狼魔女だ。何者かのつま先が、彼女の顔面に叩き込まれていた。
剣狼少年(え？)
何が起こっているのか分からず、剣狼少年は呆けた表情を浮かべている。少年の目の前で、剣狼魔女は顔面を潰され、舌を突き出しながら宙へと吹き飛んでゆく。
施設D「きったねぇ畜生ケツでェ――他人様に乗っかってんじゃねェェェェッ！！」
そして鬼神のごとき表情で脚撃を放つ、施設Dの姿がそこにはあった。
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